当たり前だが走行中はほとんど坂。スタート後僅かな距離の平坦区間をあっという間に過ぎて坂に突入。
明け方の雨でウォーミングアップは出来ないままスタートしたので不安があった。
すぐに息が上がってしまうのではないかと思いながら登坂した。
しかし幸運な事にウォーミングアップを実施しなかった為の影響はほとんどなかった。
むしろ調子が良いくらいだった(全行程の半分の花立辺りまでだったが)
上り始めてしばらくの間は52×19Tで走行していた。また時々ダンシングで上る事も可能だった。
さすがに勾配がキツくなってきてギアは39×19T、21Tで走行する事になったが回転数は60台後半から72、73を計測しすこぶる順調だった。
疲れはそれほど堪えていない。まだまだイケる!そう感じていた。
しかし好事魔多し。どの地点かはっきり覚えていないが落車してしまった。
坂を上っていて道路の左側を走行していた。登坂スピードが遅い選手は左側に寄って走行している事が多い。
流れでその遅い集団の後方で走行していたら後方から声が聞こえてきた。
「左に寄れ!」
その言葉を聞いて自分のすぐ前の選手は更に左に寄ってしまった。
自分とすぐ前の選手とは登坂スピードが違っていたので自分は進行方向を塞がれた形になった。
行き場を失った自分は道路脇の草むらに転んだ。草むらに転んだお陰で無くケガや車体故障をせずに済んだ。
また幸いにして石や標識、側溝などの固いものは無かった様だ。
すぐに起き上がり走行を再開。
しかしそこそこ勾配がある場所だったので左のビンディングシューズがペダルに装着出来ない。何度も装着を試みてようやく装着。何とかレースに復帰した。
走行中に落車の影響は無かった。どの程度タイムを失ってしまったか分からないがとにかく前に進むしかない。
そして上るしかない。走行は相変わらず順調である。
昨年崩落事故があった近くを通り全行程の半分である花立ハイツ手前の下り区間へ入っていった。
それほど疲れを感じていなかったものの下り区間は脚を休ませるには有難い。脚を休めつつペダルを回してスピードの維持を図った。
下り区間を終え再び上りに入った。そして花立ハイツを通過。
花立ハイツから少し上った所で大粒の雨が降ってきた!
はっきり言って土砂降りである。
風も強く吹き始めた。山の天気は変わり易いとはしっていたもののここまで激変するとは考えてもみなかった。
この雨を境にそれまで順調に走行出来ていたのだが一気に疲れが出てきてしまい失速してしまった。
勿論雨のせいではなく花立ハイツ過ぎが本格的なヒルクライムなのでその坂に太刀打ち出来なかったという事だ。
天候は雨。そして霧と強風。路面は水たまりが出来るほどの完全ウェット状態。
その状況下ゴールを目指して進む。前述の通り完全に失速。ギアは39×24T、28Tで進むしかなかった。
脚が完全にエネルギー切れ。勿論、息は上がり切っている。それでも自転車を降りたくなる事にはならなかった。
進み方は遅くとも確実に上っていった。
しかし自分よりスタート時間が遅い選手が自分を追い抜いていく時のスピード、力強さといったら感心してしまう。
目の前の坂を悪戦苦闘している自分を嘲笑う様に軽快に上って行くではないか!
自分も追い抜いていった選手と同じ様に軽快に上って行けるはず!と思ってレースに臨んだ。
しかし調子が良かったのは前半まで。
後半はさっぱりである。登坂練習を繰り返してきたのだがレースに結果として現れなかった。練習方法が間違っていたのだろうか?
次々に追い抜かれつつ進む。あと5km、4kmとゴールまでの距離数が表示されている。
残りの距離数を表示されても本当にその距離でゴールに辿り着く事が出来るのか?と疑いたくなるくらい苦しい。
つづら折りの坂では39×28Tのギアを使用しダンシングで進む。
今の自転車では目いっぱいの軽いギア比だ。
それでも重く感じる。
ペダルの回転数は上がらない。でもこのギア比で進むしかないのだった。
あと500m、200m。最後の力を振り絞ってダンシングでゴールに飛び込む!
タイムは1時間21分46秒38 総合順位224位(929人中)クラス順位75位(285人中)
2013年の記録は1時間16分07秒96。総合順位181位(1034人中)クラス順位55位(323人中)
因みに2012年は1時間21分50秒56。総合順位253位(1039人中)クラス順位82位(315人中)昨年よりだいぶタイムを落としてしまった。
残念。
前述の通り練習方法が間違っているのだろうか?
ゴール地点の祓川はまるでテレビの台風中継の様だった。
雨風が非常に強くてラックにかけた自転車が風でぶらぶら揺れている。
いつもならスイカや飲み物を提供してくれる場所にはテントが設置されているが強風の為設置していない。
大会スタッフはずぶ濡れである。
勿論選手も同様。ゴール後はまだいいが風雨ですぐに体温が低下する。
自分は預けていた荷物を引き取りにいって急いで雨具を装着。
そして体温を維持するために用意していたカロリーメイト、ゼリー飲料、パワーバーを食べた。
それにしても寒い。
身体が震え始めた。ところで途中で追い抜いた相部屋の方はもうゴールしたのだろうか?
しばらく座っていると相部屋の方がゴールした。早く着替えてしまいたい様ですぐに荷物を引き取りに行った。
相部屋の方が着替え終わると「雨が凌げて畳に座る事が出来る場所があるので案内する」
そして「ここから少し上った所にあるから自転車でついて来てくれ」と言う。
今までそんな施設があるとは全く知らなかった。さすが20数回出場している方だ。
後をついていくと山小屋があった。そこに辿り着いた時、風は正に暴風。
自転車も人も飛ばされそうである。自転車は窪んだ場所に横倒しにして置いた。そして山小屋に入っていった。
先客が居た。登山をする方、そして我々と同じくヒルクライムに参加した方々が居た。
しばらくするとぞくぞくとレースを終えた方々が山小屋にやってきた。
知る人ぞ知る場所なのだろう。相部屋の方曰く「この山小屋にはゴール地点のアナウンスが無線で入るので下山が始まるタイミングが手に取る様に分かる。その点も便利なんだ」とニヤリ。
山の上という事で吹き付ける雨風が物凄い。
ゴール地点は山小屋より山陰なので山小屋付近よりは風は弱いらしいがそれでも風雨に長い間晒されるのは有難くない。
案内が無かったら本当に大変だった。暖房は無かったものの体温の低下は避ける事が出来た。
また雨に打たれないというのも心に余裕を持つことが出来て落ち着く事が出来た。
無線に下山時刻が早まったとのアナウンスが入った。いずれにせよ下山しない事には帰宅できない。
悪天候でいつもより危険度が高いが下りるしかないのである。
雨そして水しぶきでフロント、リア共にブレーキの効きが悪い。他の選手との距離を意識的に取る様にして下っていった。
ブラケットを握って走行していると手が疲れやすい。思い切って下ハンドルを握って走行。
これならブレーキを常に引いた状態でも疲れにくい。最初は目線が下がるので少々怖かったが慣れてくると快適だった。
1時間弱ほどで下山終了。相部屋の方と共に宿へ向かう。そしてそれぞれ自転車を洗い、分解する。
出来るだけ自転車についた水気は取り去っておきたい。タオルで自転車を拭く。
下山時ブレーキは大いに活躍した模様。ブレーキシューが減った&溶けた黒い水がフロントフォーク、ホイール、バックフォーク、ダウンチューブにとこびりついている。
帰宅後は自宅で自転車を逆さまにして内部の水分を落とす。そして砂や汚れを取り除くのである。
自転車を車に収納したらシャワーで汗を流す。というか身体を温めにいった。
シャワーが使用出来るのは知っていたが利用した事はなかった。相部屋の方に勧められたのである。
「すっきりして帰る事が出来るから!」シャワーを浴びて出てくると気持ちが良かった。
アドバイス通りだ。もっと早くから利用するべきだった!それにしても先ほどまで山に居たのがウソの様だ。
また自転車で坂道を上ったのが自分ではない様な感じだ。
相部屋の方もシャワーを浴びて自転車を積み込んだらしい。
最後に来年の再会を約束してそれぞれの帰路に着いた。それにしても後悔。どうして連絡先の交換をしなかったのだろう。非常に悔やまれる。
人生上でも自転車でも頼りになる先輩に巡り合えた気がしてならないのである。
何とか連絡を取ってこれから交流できればいいのだが。宿のご主人に相談してみようと思う。
タイムトライアルにしてもヒルクライムにしても準備&練習を実施してきたにもかかわらず結果が伴わなかった。
ヒルクライムでは花立ハイツまでの前半部分は非常に調子が良く快適だった。
どこまでも上っていけそうな感じがした。また「きたかみ」では出来なかったダンシングでの走行が出来た。
しかし後半は前述のごとくさっぱりである。
以前にも記述したが自宅近辺には距離が長い坂が無い。せいぜい1kmがいいところ。
インターバルの様に上っては下り上っては下りという練習しか出来ない。
これから更にタイムを向上させるにはやはり長い距離の登坂練習が必要だろう。
息が上がった状態で長い時間そして長い距離を走行する事が可能になる為である。
しかし頻繁に遠出をするわけにもいかない。現状の中で工夫して練習するしかない。
色々と考えていかなければならない。
かなり大胆な考えだがこれから先はレースの中心をヒルクライムに絞りそれと共に練習もヒルクライムに特化するというのはどうか?
タイムトライアルも練習を実施しなければタイムの向上は望めない。
しかしタイムトライアルのタイム上位選手と自分のタイムを比べると差が2分程。
ヒルクライムの場合は15分以上の差がついてしまっているのである。
順位は両方のタイムを合計したものが順位として反映される。
タイムトライアルを軽んじる訳ではないが順位を上げていくにはヒルクライムの能力を向上させた方が早いものと考えられる。
またヒルクライムが速い選手はタイムトライアルも速いらしい。
果たして自分が同様な結果になるかは分からないが一考の余地は大いにある。
確かにあれもこれも強くなりたいといって手を出し過ぎている感はある。ここはタイムトライアルはある意味「捨てて」ヒルクライムの能力向上に専念するべきではないかと考えられる。
一点集中で自分の限界を突破し、そして出場すれば上位に入る事が出来るとほくそ笑んでいる連中に一泡も二泡もかかせてやりたい。
次のレースは9月20、21日に由利本荘市の秋田県立大学本荘キャンパスで行われるクリテリウムレースだ。
タイムトライアル(約2km)も実施される。
前述の通りヒルクライムに特化する中で9月のレースをどういう位置付けにするか考え物だ。
エントリーする時は今後のレース&練習についてあれこれ考えていなかったので。
ヒルクライムに特化していく中でどんな結果になるか試してみるのも悪くはないとは思っている。
今回のヒルクライムは天候(暑さ、雨、風)との闘いだった。そして一生の仲間になるかもしれない方との出会いが印象的だった。
レースの結果は今一つだったものの今後の自転車生活そしてレース&練習に変化と検討をもたらすものだったのではないだろうか。
2014年第28回矢島カップ 「Mt.鳥海バイシクルクラシック」は
こんな感じでした。
体験・レジャーの予約はアクティビティジャパン!8,000プランから検索!