初日(7月26日)の猛暑日に迫らんという気温(34度)を抱えたまま夜を迎えた。普段とは違う環境と暑さでなかなか寝付けない。
しかし今年は隣で「いびき」を奏でる奴が居なくて良かった。昨年は「いびき」のお陰で全く眠る事が出来なかったのである。
あまりにうるさくて自動車の中で寝たほどである。それに比べれば今年は相当環境が良い。多少の寝不足は問題ないだろう。
天気予報では未明から明け方に雨が降り出すという事だった。うつらうつらしながら横になっていたら(時計を見たら午前2時50分)雨が降り出した。
珍しく天気予報が的中。昨日の天気を考えると雨なんて降る気配すらしなかった。
再び眠りに落ちた。
次に目を覚ました時(午前4時過ぎ)は雨音で目を覚ました。かなりの雨量である。風が強く吹いている。山は霧が掛かって見通しが悪そうだ。このまま降り続くのか?
雨は一向に止まない。強弱を繰り返しながら降り続いている。レースコースの近くで昨年道路の崩落事故が発生し亡くなった作業員の方が数人居た。
まさか同じ様な事は起きないとは思うが最近のご時世からすればレースの中止がありうるかもしれない。
早朝だったが大会事務局にレースに関して変更等ないか確認するため電話をかけた。1回、2回と電話は繋がらなかった。3回目にようやく繋がった。
レースに関して変更はないのか尋ねた所、きっぱりと「変更なし!」との回答を頂いた。
よほど開催に自信があるのだろう。これで腹は決まった。土砂降りでも何でも走ってやろうじゃないか!
朝食は宿のご主人のご厚意で午前5時30分から頂ける事となった。
その前に軽く走行しておきたかったのだが雨でずぶ濡れになりそうなので走行は実施せず。致し方ないがほとんどアップをしないでレースに臨む事になる。
朝食の時間が来て自分を含め同宿の参加選手が集まって来て朝食を摂る。朝が早いという事やレース前の緊張ではっきり言って食欲が無い。
しかしここで食べておかなければレースに響く。そう自分に言い聞かせて食べ物を口に運び胃の中に流し込んだ。
朝食後は身支度を済ませ自転車を組み上げなければならなかった。昨年までは受付会場近くに車を移動させていた。
しかし今年は雨。雨に打たれて作業するのは気が滅入る。幸い民宿の軒先に雨が当たらない場所があるのでそこで自転車を組み上げる事にした。
これは非常に有難かった。あらためて考えると今回そして今まで宿泊させて頂いた民宿は便利である。
まずレース受付からそれほど離れていない(約1.5km)自転車だと10分かからない。
自動車を民宿の敷地に駐車させたままレースに出発出来るので朝の移動が必要ない。
慌ただしい時間帯にこれは有難い。
また民宿の入口の側ににトイレがあるので楽である。
前述の通り雨天時でも雨が当たらない場所での作業が出来る。
また倉庫があり自転車を組んだままで保管させて頂く事が出来る。宿泊客に限りレース後シャワーの使用が可能。
相部屋の方から貴重でしかも有難いアドバイスをたくさん頂いた。栃木から参加していた方である。
矢島カップには二十数回出場しているベテランだ。流石に色々熟知しておられた。
レース前に静かに過ごせる場所や混まないトイレなど貴重な情報をたくさん教えて頂いた。
非常に感謝している。
またゴール後の悪天候の中、山小屋に案内して頂いた。アドバイスが無ければ1時間以上風雨に晒されていただろう。
山小屋に避難していても下山時そして下山してしばらくは身体の震えが続いていたのだ。体調を崩してしまったかもしれない。その方には本当に感謝である。
さて自転車を組みそして装備を整えた。給水ボトル、補給食。そしてゴール後の悪天候に備えての雨具。
この雨具はリュックに入れて大会スタッフに預ける。そしてゴール後に受け取る。
今回は間違いなくゴール付近は悪天候。雨が降らないにしても気温が低いだろう。しっかり準備しなければならない。
しかし出発前にトラブル発生。ヒルクライム用に持参したホイール(リア)のタイヤがエアを注入している途中でパンクしてしまった!
替えのチューブは持参していたが時間が無い。止むを得ずタイムトライアルで使用したホイールで山を上る事にした。
しかしこのホイールは28Tから徐々に上げていく途中(28T→24T→21T→19T)でスムーズにギアチェンジ出来ない。理由はハブの長さらしい。
それはともかくそもそもスムーズにギアチェンジ出来ない理由でパンクしてしまったホイールでの走行を予定していたので本末転倒である。
しかしいつまでも悔やんではいられない。これで上るしかないと決めた。
しかしホイールを2組持参してきておいて幸いだった。
もし持参していなかったらと考えるとゾッとする。今までその様なトラブルは無かった。
しかし今回は念の為の準備そして万が一に備えるという事がいかに大切かという事を痛感させられた。
ゴール後受け取る雨具は午前7時15分まで大会スタッフに預けなければならない。アドバイスをくれた方と一緒に7時過ぎに宿を出発。
曰く「受付時間は多少遅れても大丈夫。心配無い!」と仰っていた。
流石にベテランである。
大きく時間を過ぎるのはもっての外。しかしあまり時間に振り回されるのも良くない様だ。
荷物を預けたらあとは町内をパレード、そして出走である。それまでにはまだ時間がある。
集合場所からやや離れた場所に移動。
流石にベテランだ。静かで落ち着ける場所を知っている。
自分は通り過ぎるだけで実際にこの様な場所があるとは知らなかった。
しかもトイレはすぐ近くにある。受付会場近くのトイレはいつも長蛇の列。しかしここは並んでも数人程度。本当に感謝である。
世間話をしながらリラックスした。やはり共通の趣味の方とは話が合う。家族の話、そしてやはり自転車の話で盛り上がった。
各地で参加したレースの話やサイクルウェアについて等。
相部屋の方は上下で5万円!のジャージを着用していた。「Rapha」というブランドだ。
知る人ぞ知るブランドである。高価なだけあって破れたり解れたりすると補修を無料で施してくれるとの事。
今までレース前にこれほどリラックスした事はなかった。
そうこうしているうちにパレードに出発する時間が迫ってきた。
共に招集場所へ向かう。クラスが違うので途中で別れた。「追い抜く時は声を掛けてね!」と言われた。お互いの健闘を祈りつつレースが始まろうとしている。
パレード走行は町内を1周。そしてスタート地点へと向かう。クラス別に時間をおいて順次スタートしていく。
いよいよ自分が属するクラスがスタートする時間となった!